タンパク質中での重水素結合ネットワークに関する第一原理シミュレーション研究
概要
医薬品や材料中に含まれている水素を重水素に置換することで、様々な機能向上が確認されており、例えば重水素置換医薬品の活用が進んでいる。しかしながら、重水素置換することにより、医薬品や材料の機能がなぜ向上するのかについて、その詳細なメカニズムについては明らかにされていない。重水素の機能向上のメカニズム解明を妨げている要因の1つは、水素・重水素の質量は軽く、それらの振る舞いを詳細に解析するには原子核の量子性を考慮する必要があるためである。一方、一般的に利用されている第一原理計算パッケージでは、水素の量子効果を取り扱うことはできない。そこで本研究では、材料および生体分子中での重水素の量子性を考慮するために、我々の研究室で開発されてきた多成密度汎関数法を用いた。特に本研究では、重水素化された高感度緑色蛍光タンパク質 (Enhanced Green Fluorescent Protein: EGFP) 中の発色団近傍には特異な(重)水構造や(重)水素結合ネットワークに注目し研究を実施した。結果、EGFP中のArg96残基が発色団の重水素・水素結合の状態 (プロトン化状態) に強い影響を与えていることを見出した。
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